novel U
□act.8
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「いいかリーマス。俺から離れるなよ」
「うん!」
緊張気味に鏡に向かって頷くリーマス。着慣れたハズの制服をぎこちなく纏う姿は何ら今までと変わりが無いように感じられる。
けれど今のリーマスは何処までか分からないが記憶を喪失していて、まるで無邪気な子供だ。
歳の割に食わねぇから小柄で…雰囲気が幼くなっても見た目おかしくない──のもどうかと思うが──可愛いのでこの際置いておく。
俺の声に振り返ったリーマスは嬉しそうに笑い、その姿は何処か微笑ましくて抱き締めてしまいたくなった。
少し考えて止めようかと思うも…やはり我慢するのは俺らしくないと口を開く。
「なぁ…あんま他のヤツに笑いかけるなよ?」
「?」
つい私情と独占欲が勝り制御的な科白が口をつく。
何で?と首を傾げ目で問われると結局答えに詰まるのだ。
「いや…いい」
「へんなしりうす…」
綺麗な回答に辿りつかない俺は若干気弱に返事を返す。すると小さくくすっとリーマスに笑われ、その目尻に鼓動が跳ねて…気を抜けば手が出そうになった。
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