novel T‐α
□STEP☆STEP
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「リーマス…こっち──」
俺の声にリーマスが振り向く。
パッと目が合うと、どちらも自然と笑顔が浮かんだ。
風もなく、一面に青空が広がる空の下。
俺は左手の人指し指を振り、リーマスを手招いた──。
久し振りに晴れ上がった天気に、嬉しそうに空を見上げ…目を細めるリーマスがそこにいる。
時折小鳥達が弧を描くように頭上を飛び回り、リーマスは嫌がるでもなく、愉しげに声を立てて笑っていた。
その笑顔が陽射しよりも眩しく感じるのは、俺だけだろうか?
リーマスと居ると、これが…人を好きになると言う感情かと、簡単に思い起こされる。
昔の俺なら邪険にしているであろうタイプのこいつは、少し控え目過ぎて、その癖たまにとんでもなく大胆になったり。
思いもよらないこいつから、俺は目が離せない。
「どうしたの?シリウス」
鳶色の髪を陽に乱反射させながら、リーマスは俺の目の前に立つ。
「つまらなくないか?」
「ううん。愉しいよ?」
にっこり笑ってリーマスはまた空を見上げる。
「空に…何かあるか?」
「え〜?……雲?」
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