novel T‐α
□ある日の風景
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「シリウス〜ちょっと手伝って!」
「ん〜。何だぁ?」
私が棚の上に追いやった大鍋を、必死で下ろそうと躍起になってる時。
シリウスが運よくリビングに顔を出してきた。
寝坊すけなシリウスは、がしがし頭を掻きながらキッチンに周り、驚きの声をあげた。
「Σおいっ!リーマス?!」
返事を返した時のノンビリ感はスッ飛んで、慌てて私の側へやって来る。
ぐらついた私はシリウスが側に来るまで耐えられなかった……。
───ガッシャーン!!
──カラン、カラン…。
派手な音と共に、積んであった鍋と、その他諸々が部屋いっぱいに散らばる。
ガラス製品が無かったのは救いだろう。
「お前なぁ…何朝から暴れてんだよι」
「あははっ…鍋がねι」
間一髪シリウスに引き寄せられ難を逃れた私は、シリウスの腕に包まれたまま、散らばった食器達を見下ろしていた。
「取れないなら俺を先に呼ぶか、魔法で取れよ」
心配させるな…ときつく抱き締められ、首筋にキスを落とされる。
「ごめんよ?杖を部屋に置いたままで、面倒だったんだ」
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