novel T‐α

□Hug up!
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深い深い…真っ暗な闇から。

見えない何かが引っ張る。

恐怖と緊張で、

止めていた息を吐いた。

暗闇はただの闇ではなく。

呼吸を阻む水なのだと…

そう気付いたとき。

苦しみから逃れたくて──

その意識を閉じる。

冷たい感触に身を委ねれば

微かな光を感じ…

重い瞼を眇(すが)る。

正反対な光を放つ"それ"は

心地よい温もりを伝えてきた。

まるで、

闇に近付くのを

妨げるかのように。

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