novel T‐α
□嘘と駆け引き
1ページ/10ページ
【嘘と駆け引き】
「セブルス?……入るよ?」
リーマスは数回ノックしたドアを引くと、ちらっと中に顔を入れてみた。
誰もいない…。
「もう?どこに…「お前に覗きの趣味があるとはな…」」
「──っ!」
大袈裟に溜め息を吐いてうなだれていると、唐突に後ろから低い声を掛けられた。
もちろんこの部屋の主であるセブルス・スネイプだ。
「あぁ、驚かさないでくれないかい?」
「声を掛けられて驚くとは…、やましいことでもしていたか?」
くっと口角を上げ、セブルスはリーマスを押し退けて部屋へ入る。
当然用事のあるリーマスも中へ入って行った。
「おい」
「なんだい?」
咎められたと思っていないリーマスの返事は鮮やかで、にっこり笑うと勝手に主の椅子へ腰を落とす。
「許可なく我輩の部屋へ入るな」
生徒が向けられれば、震え上がるような一睨みを軽く受け流し、リーマスは手近にあった薬学の資料を手に取った。
「私達の仲じゃないか。別に今更だろう?」
リーマスは視線を合わさず背中で語り、捲った資料の難しさに顔をしかめた。
_