novel T‐α
□逢いたくて miss you
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「………?」
不意にリーマスは物音を聞いた気がして、読んでいた日刊予言者新聞から顔を上げた。
耳を澄ませて気配を探り、玄関のドアを見る。
こんな人里離れた場所に誰かが来るはずもなく、一抹の不安が頭をよぎった…。
と同時に、ある種の期待のようなものが産まれる。
まさか……と思うものの、リーマスは速くなった鼓動に気付き、追われるように立ち上がった。
早く開けなければ…と云う危機感まで産まれてくる。
踏みしめるように短い距離を進み、ドアノブに手をかけた。
血流が速い為か、伸ばした指先が震えていて、自分では止められない反応に戸惑てしまう。
「……」
小さく息を飲み込むと、リーマスは意を決してドアを開いた……。
───カチャッ。
────キーーッ。
軋んだ音と共にドアが開き、目の前に何時もと変わらない森の木々が現れる。
「あぁ…」
一瞬にしてリーマスの表情が曇った。
眉間に皺がより、ノブを握る手に力がこもる。
期待した誰かは視線の先に見当たらなかった……。
【逢いたくて】
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