novel T‐α
□paradise
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それは優しく、暖かく、懐かしい…あの日の出来事───。
たくさんの思い出のひとつで……。
色褪せることのないページの。
───記憶───。
【paradise】
「あの、写真一緒に撮らせてもらえませんか?」
そう言って、下級生の女の子達が僕らの前に立ち塞がった。
「うん、いいよ!」
ジェームズはにっこり笑い、女の子達に連れていかれてしまう…。
背中を押され仕方なく、シリウスは面倒くさそうにその後をついて行く。
残されたのは僕と二人の子。一人の子が僕の顔を見て…恥ずかしそうにお願い事を続けた。
「るっ、ルーピン先輩もいいですか……?」
「僕もかい?」
「はい!あの、ご迷惑でしょうか?」
「いや、構わないよ?」
「ありがとうございます!」
跳び上がらんばかりに喜ばれて僕も笑った。
──驚いた。
ジェームズやシリウスならここの所、ひっきりなしに呼び出され、やれ告白だ。写真を撮らせてくれだ。思い出に一緒にお茶を…と引っ張りだこだったのだが、それも彼らがかっこいいから。人気があるから当たり前のことなのだ。