novel T‐α
□daily routine
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daily routine
「僕、君のこと、気に入った♪」
指をピストルの形にしてこちらを指し、そんなことを言い放って目の前を立ち塞がるヤツがひとり。
「………」
突然そんなことを言われても、とっさにどう反応していいか分からない。
何を血迷った!や、寝言は寝て言え…などと返せばよかったのだろうか?
私を撃ち抜く真似をして指先をひと吹きすれば、言いたいことを言ったとばかりに上目使いでこちらを見、私に何も求めずに、くるりと踵を返す。
進みながら顔だけ振り返えしてきた。
「んじゃ、そう云うことで!」
手をおざなりに振り、にかっと笑うとヤツは…ジェームズは、私の視界から消えた。
そう、文字通り一瞬にしてジェームズはいなくなったのだ。
「……?……なっ!」
魔法使いである自分達が、突然消えることはある。
けれどここ、ホグワーツでは姿現しは使うことが出来ない。
となると消えた理由はただひとつ。
考えが正しければ大変なことかもしれない。
カーブの先の階段へ…だん!と飛び付くと身を乗り出して手摺を覗き込んだ。
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