novel T‐α
□ツリーの下で逢いましょう
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セブルスは状況を脳に伝えると、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「ここへ来たのは間違いだったか…?」
空を見上げる眉間に、きゅっと皺がよる。
風が吹き始めていっそう寒さと孤独感を強めた。
誰もいない─
動物の姿すら無い──。
ただあるのは真っ白な雪と、暮れかかった森の静寂。
どこかで雪が木から落ちて、ドサリと音が響いた。
「……っ!」
瞬間肩がビクリと上がる。息を止め辺りを伺った。
先の見えない森の奥を見つめ、セブルスはひとりごちる。
「何をしている…」
吸い込まれる様に声は消えてゆく。
いつもなら──
どんなに自分が怒ったとしても…いつもジェームズが後を追っかけて、機嫌を取ってきた。
だから今度も…。
必ず迎えに来るはず───。
そんな不確かな確信があって。
けれど、待てども、行けどもジェームズはやって来ない。
その事実が余計にセブルスの気持を冷やした。
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