novel T‐α
□ある日の風景
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アイスをたっぷり食べて、買い物の続きを回り、昼食を取ってから家に戻った。
「は〜っ。今日はたくさん歩いて食べたね」
「これはちょっと買い過ぎやしないか?」
「君がたくさん食べるから、必要なんです!分かった?」
腰に手を当てて言うと、肩をすくめてシリウスは降参した。
クスッと笑ってから。私はあのカップの包装を解いた。
「やっぱり私がこっちを使うべきかな?」
「いや、それは俺が使うよ」
「そう?シリウスがそれでいいなら別に、私はこれにするけど…」
もうひとつを持ち上げて柄を見せる。
「わん!」
「ぶっ…くっ─。リーマス!」
「何で笑うのさ、バカ犬!」
「そこで吠えてるムーニーよりかは賢いぜ?」
隠しもせずくつくつ笑うシリウスを見限って、カップを洗いにキッチンへ。
入れたてのコーヒーを注いで、真新しいカップをテーブルに置く。
間違えないように絵柄を確認して。
オオカミ柄のカップはシリウスの前に…。
イヌ柄のカップは私の前に。
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