novel T‐α

□ある日の風景
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レモンを掲げると小さくシリウスが頷き、一枚紅茶に浮かべてやった。

「お前も半分食えよな」

そう言ってシリウスはパンにジャムを塗り、少し大きめにちぎったパンの半分を私に差し出した。

余り食べる気は無かったが、シリウスに貰ったなら食べない訳にいかない。

明らかにシリウスの半分以下の量しか乗っていないお皿から、ベーコンをひとくち食べて、パンをかじる。
パンを食べ始めたのを確認したシリウスは、手に残ったパンをペロリと平らげた。



片付けて出掛ける支度が整ったら、二人で“姿現し”でダイアゴン横丁まで。

袋いっぱい買い物をして、半分以上シリウスが持ってくれて、私は先を急ぐように歩いていた。

「リーマス、どこか目的地でもあるのか?」

「うん。前に来たとき欲しかった物がね…あっちの店にあるんだ」

速足で追い付いたシリウスの腕を少し引き、ありきたりな日常雑貨店へ連れて行く。

店内には所狭しと食器や調理器具、アンティークな調度品が並べられていて飽きない。

そのうちの一角、沢山のマグカップが並べられたコーナーまで行くと、シリウスは納得いったと云う顔で私を見つめてきた。


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