屍界に咲いた黒い花

□銀の疾風
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「随分必死じゃねぇか
 そんなに大事か? 今から助けに行く死神って奴が」

志波岩鷲が、未だ霊珠核に悪戦苦闘している黒崎一護に問い掛けた

「…別に」

一護は汗だくになりながらもそれを拭わず息を切らせ、ただぶっきら棒にそう答える後も様々に問うが、答えは全て「否」
岩鷲は「訳が判らない」と云った顔をした

「じゃあ何でそんなに必死なんだよ」
「…借りだよ
 俺はあいつに命を助けられた。その借りをまだ返してねぇ
 あいつは会ったばかりの俺と俺の家族を助ける為に、俺に能力をくれた。その所為で処刑されようとしてる
 ──それを見殺しにするような つまんねー男になりたくねぇんだよ、俺は」
「……」
「それに──そう云う事、ある人に言ったら…"これはあの子が選んで進んだ道だ、他人の運命に勝手に自分を割り込ませるな"…って、言われたんだ
 確かに俺の存在一つで尸魂界が揺らぐなんて、そんな大事を負うのは図々しい。…正論だったから、悔しかった
 だから──意地でも"運命"に割り込んでやろうって 思ったんだよ」

霊珠核を抱えながら、一護がそう言うと、岩鷲は息を吐いて頭を掻いた

「…何つーか…変わった奴も居るんだな
 ──兄貴みたいだ」
「…あ?」
「何でもねぇよ!
 それよりその変わった奴も死神、なんだろ?」
「あぁ、変わった女死神だった
 …一回しか戦ってねぇけど…強かった…完敗だった
 だから負かした時の顔、見てみてぇって思ったんだよな、祈騎の」
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