屍界に咲いた黒い花
□落雷落日
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「──どう云う事だ…? なんで俺達落ちねえんだ!?」
遥か上空、橙色の髪をした死神代行が黒猫に叫んだ
夜一はその場に居る者全てに聞こえるように声を張った
「離れるな! 今は溶けた砲弾が一時的に儂等に絡み付いておるだけじゃ!
じき渦を巻き破裂し消滅する──」
そう言った所で、異変が始まった
夜一の言った通り、凄まじい勢いで渦が巻き始めた
皆が慌てふためく中、夜一だけが疑問を感じていた
「(おかしい…幾等何でも渦の威勢が良過ぎる…!)」
そして、ふと見えた空に、その答えを見付けた
空は黒く染まった雲で覆われていた
「な、なんだアレは! なんで急に雨雲が…」
雨竜がそう言った直後、雲の中が煌めいた
「違う──雷雲だ!」
泰虎が言ったその瞬間だった
煌めきの黒雲の下、死魄装を着た人影が、その声を響かせた
「旅禍、覚悟!」
小柄な女は、斬魄刀を構えてその解放を行った
「風よ、我が声に応え其の力 今、解き放たれん! ──双瞬・迅速!!」
白銀の刀が、二つの扇に姿を変えた
その両の扇を、渦巻く旅禍に向け扇いだ
途端──稲妻が、旅禍に落ちる
衝撃で、旅禍は散々に四方へ飛ばされた
「……やり損なった…かぁ──」
空中の女が落下する
扇は、元の刀に戻っていた
女の体が地面に叩き付けられる──その時だった