屍界に咲いた黒い花

□過去が嗤う
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十二番隊・技術開発局研究室を後にして、如月時雨は次の目的地はどうするかと悩んでいた
霊圧を探ってはみるものの、いつ戦闘が始まるか分からない張り詰めた空気の中、自分が捜すその相手は休暇中。溢れる他の霊圧に紛れ、思うように掴めない
時雨は溜め息を吐いた。幸せ逃げちゃうよぉ、と笑う祈騎の顔が、ふと浮かんだ

「──居た居た。時雨ェ」

名を呼ばれて振り返る
其処に居たのは額に鉢巻きを締めた、青い髪の男

「青巳」
「よ。大活躍だったらしいな、先刻。二人同時に縛道かけたんだって?」
「ああ…騒ぎがあってな
 しかし何故知っている?」
「うちの大前田がな、『藍染隊長が死んでて、雛森と吉良がやりあって、日番谷隊長が降ってきて、如月が六杖光牢でズバーッと二人とも捕えた』って言ってきたから」
「……彼奴は本当に隠密の副隊長なのか」

折角これ以上無駄な騒ぎが起こらないよう、居合わせた二人の零番隊員にはそう云う指令を下したと云うのに、これでは意味がない
溜め息を吐く時雨に、けたけたと琉華は笑う

「…それで、青巳は何故私の所へ?」
「んあ? あー…何だったかな
 …そうそう、お手伝いよ、お手伝い
 祈騎、捜してんだろ?」
「…お前の忘れっぽさも隠密らしからんな」

苦笑いをする時雨。琉華はまた笑う
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