屍界に咲いた黒い花
□堕ちる淡色
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『──気を付けな』
『三番隊には気を付けな』
『特に──』
『藍染の奴が一人で出歩く時にはな』
「──お前か!!!!」
雛森桃が抜刀し、市丸ギンに向かっていく
市丸は変わらずに其処に立ったまま笑っている
彼には、この後の展開が分かっていたからだ
──瞬間、刄が交わる音が響いた
「吉良くん──どうして!!」
そう、副隊長である吉良イヅルが、自分と雛森の間に割り込み、攻撃を受け止める事が
「僕は三番隊の副隊長だ。どんな理由があろうと、隊長に刀を向ける事は許さない」
イヅルが何故、そんな事を言うのかが、雛森には分からなかった
「嫌…吉良くん、お願い、どいて」
「…それは出来ない」
──その男が、殺したのに
「どいてよ、どいて…っ」
「駄目だ!」
──藍染隊長を、殺したのに
「どけって云うのが、分からないの!?」
「駄目だと云うのが、分からないのか!!」
──私の隊長を──殺したのに…!!
「──弾け!」
雛森が刀を構え直し、叫んだ
「"飛梅"!!」
凝縮された霊力の塊が、イヅルの目の前で炸裂する
何とか躱せたが、後方の壁が崩れるのを見て、イヅルの頬に汗が流れた
「こんな処で斬魄刀を──浅薄!!」