屍界に咲いた黒い花
□断崖の花が散る
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「寝坊したー怒られるー! ライライ、なんで起こしてくんなかったのさーっ」
「慧斗、お前の所為で寝不足なんだよ! 夜遅く突然俺の部屋に来て勝手に俺の布団で寝ちまうから!」
「しょーがないじゃんか、皆が書類ほったらかしでどっか行っちゃうからぁ!」
廊下を慌ただしく、二人の死神が駆けていく
緑掛かった黒い髪と、左目を包帯で覆い隠している女が八雲慧斗
その慧斗に「ライライ」と呼ばれた、背の高い女が橘雷光
雷光は中性的な顔立ちをして、口調も少々荒っぽい為、よく男性だと間違えられる
──特に本人はそれを気にした事は無いが
「十一番隊の野郎共が書類なんか処理する筈ねぇだろ。その為に書類係のお前が居んだろが」
「むー、まぁそうなんだけど」
「…なぁ、慧斗さぁ、寝る時もそれしてんのな」
雷光が自身の左目を親指で示した
「寝る時くれぇはずしゃーいいのに」
「寝てる時に誰か来たりしたら咄嗟には隠せないじゃん。見られないように普段やってんだから、外しちゃ意味ないでしょ
…あ、オレちょっとシグちゃんとこ寄ってくから先行って」
「副官室か?」
雷光が慧斗に尋ねた
慧斗が頷く