屍界に咲いた黒い花

□交錯する「  」
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「今…何て」

信じられない、信じたくない
その感情から、彼ははっきりと聞こえていた言葉を男に聞き返した
牢の中で静かに座る彼女は、もう表情を変えなかった
男は短く息を吐き、「幾度も言わせるな」と彼に言った

「第一級重禍罪 朽木ルキアを極囚とし──これより二十五日の後に真央刑庭に於いて極刑に処す
 それが尸魂界の最終決定だ」

それが目の前に突き出された現実だった
悪い夢では無かった。聞き違いでは無かったのだ
彼女は死ぬ。法によって殺される
そう、自分の隊長は、彼女の義兄は、言ったのだ

「お前と言葉を交わすのもこれで最後になろう
 ルキアよ──次会うのは処刑台だ」

そう静かに告げて、男は踵を返した
銀白風花紗が宙を舞い、それが男と彼女の別れを色濃く縁取った様に見えた
彼と彼女は動けなかった
何も話さず、呼吸の音すら立ててはならない様な、妙な感覚に襲われたからだ

「およっ、白哉さん、もう戻るの?
 ──あぁ、うん、分かった
 大丈夫、なるべく早く行くよ」

よく通る映えた声が聞こえた
合間合間に男の言葉も聞こえたが、何と言っているのか思考を巡らせる前に声の主が現れた
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