屍界に咲いた黒い花

□落雷落日
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警鐘が響いてから数時間が経った
雲一つ無い空は明るみ、侵入者の姿を見付けられずに居た死神達が諦めかけた時だった
遠くから鳴る轟音に振り返ると、遥か上空から何かが──複数人の霊力の塊が落ちてくるのが眼に写る
そしてそれは、靜霊廷の障壁──遮魂膜に真向から衝突し、更に轟音を発した

「ほえー、あれにぶつかって消えないの? 丈夫だなー」

三番隊所属・零番隊の、簗瀬瑠李がそう言葉を漏らした
隣に居た、同じく三番隊所属・零番隊の燈水十夜が、「あぁ」と口を開く

「そうだな…恐らく例の旅禍だろうが──」

そこまで言った所で、二人の間を何かが通り過ぎた
尋常でない速さのそれを見て、二人は眼を丸くする

「な、なに? 今の──」

そう瑠李が口を開き掛けた時、再び何かが通り抜けた
顔中を埋める包帯と、腰辺りで結われた長い髪

「…時雨副隊長?」
「相変わらず疾いなぁ…って云うか何事?」

訳が判らない二人は、ただその場で茫然と立っている事しか、術が無かった
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