amorfrater

□其の壱.帰ったらソファにぐうたら兄貴。
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…………いや
いやいや、有り得ないよな。

自分で考えていて馬鹿馬鹿しく感じられた。俺が、兄さんに?兄弟だぞ兄弟。
確かに兄さんは言ってしまえば綺麗だとは思う。が、だからと言って弟がそれに照れちゃ駄目だろ。

「白夜、百面相怖い……」

先程俺が強く押したであろう箇所を押さえた兄さんの声で、はっとした。

「え、俺そんな変なカオしてた……?」
「おう、何か恥ずかしそうにしてたと思ったら眉間に皺寄せてんの」

自分の眉間に皺を寄せて見せる銀兄に内心で笑いながらも、表情は固いまま、口元を手で覆った。
そんな顔に出てたのか……何か恥ずかしくなってきた

「白夜兄さ、疲れてるんでしょ?」

唐突に雅の声が割り込んできた。何時の間にやら雅のしていたゲームには「You win」との表示が。
あからさまに不機嫌そうな銀兄を置いて、俺は慌てて頷いた。

「そうだよ、寝ようと思ったんだった!」
「なら俺と一緒に寝りゃいいじゃん」
「余計休めねえよ!」

玄関に置いてきた鞄を取ってくると、声には出さないで雅に感謝し、二階への階段を駆けた。

(さんきゅ、雅………っ!)

さっきのど近距離の銀兄の顔が頭から離れない。きっと赤いままであろう自分の顔を押さえ、俺は逃げるように自分の部屋に駆け込んだ。



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