11/12の日記

07:38
。。
---------------
「その車、なんていうんだ?」
「あれ、アキラ知らないの?」
「知らないから聞いてる」
「ご、ごめんごめん……えっと、タンクローリーつていって、コンクリートとかを運ぶ車なんだけど」
「ふうん……」
「ドラム…この樽みたいな。これが上手く回らないんだって。古かったみたいだからさ」

話しているうちにも時間が過ぎていく。これではケイスケが早く出勤した意味がなくなる。
はっとした俺は、ケイスケに仕事戻ってもらおうと手早く話を終えた。
ケイスケは無論寂しそうな顔をしていたけれど、流石に諦めたらしく頷いた。
俺が歩き始めればケイスケは再び背中を向ける。その背中が、なんだかあまりに淋しくて。

「頑張れよ」

思わず、声を掛けていた。
顔だけこちらに向けたケイスケは、煤で汚れていても綺麗に微笑んで。

「アキラも」

昔のこいつがこの場面にいたら、どう思うだろう?
そう感じるくらい立派な背中を少し眺めてから、アキラは工場に入って行った。






ケイスケと話したことにより、少しでも晴れるかと思っていた気分。

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ