Novel

□Shy boy!
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「ねぇ皆、タカオって知ってる?」

放課後の空き教室の教壇、本来なら部長がいるべきその場所に、不二先輩が立っていた。
今日は雨で練習は中止だったが、緊急ミーティングがあるからって、不二先輩が皆を呼び集めたのだ。
そこで言われた意味不明な台詞に、皆首を捻るだけで返答に困っているようだった。

「……誰っすか?タカオって……」

一番に口を開いた俺の質問に、先輩はいつもの微笑ではなく、よくぞ聞いてくれましたとでもいうような表情で、得意げに答えた。

「違うよ、桃。タカさんと海堂を応援する会、略してタカオだよ」

「はぁ?」

そりゃどーゆーことだと教室を見渡すが、どちらもここにはいないようだった。

「話題が話題だから、二人には今日ミーティングがあること伝えてないんだ」

「でも、応援ってにゃんの?二人に共通することなんて、あったかにゃぁ……」

英二先輩が、相変わらず猫語で悩んでいる。
乾先輩は眉間に皺寄せて何やらノートをめくっているし、大石先輩なんて悩みすぎて触覚が萎れてきている。
確かに、あの二人の接点は部内でも一番少ないだろう。
個人的に喋っているところはほとんど見たことがないし、同じ部活の先輩と後輩って関係しか思いつかない。
越前は既にうとうとし始めていたが、俺も含めて他の先輩たちもお手上げのようだ。
そんな俺たちの様子を見て、不二先輩は嬉しそうに話し始めた。

「皆にはちょっと難しかったみたいだね。あの二人はね、一応両思いなんだよ」

部屋いっぱいに広がる沈黙。
妙な緊張感。


「ええええええええええええ!!!?」
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