ゆめ

□麦藁怪談
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その“ゆうれい”を、最初に目撃したのはウソップだった。

夜、トレーニングルームで寝ていたゾロを起こしに行くと、寝ているゾロの傍らに、見知らぬ女が立っていたというのだ。

女は背中を向けていたが、ナミでもロビンでもなかった。
そして、よく見ればその体は暗闇の中でぼんやりと光り、薄く透けていたそうだ。

しかし、絶叫してしかも気絶したウソップが目を覚ましてそれを訴えても、そんな女はどこにも居なかった。





しかし、数日後、ロビンがその女を見たと言ったので、事態は事実だとわかった。


「をいなんでロビンは信じるんだよっ!!!」
「素行と名前の問題ね…」


ロビンが言うには、やはり夜、見張りの交代のためにゾロを呼びに行くと、寝ているゾロの隣に、見知らぬ女が立っていたそうだ。体はうっすら透け、ほのかに光りを放っていた。そして、


「ちらりとこっちを見て、消えてしまったわ」
「ッギャ―――――!!!!」
「チョッパーは聞くな!!」


ロビンはにこにことご機嫌ですらあるようだが、チョッパーとウソップはがたがた震え、叱咤するナミも少し顔が青い。あとの面々は平気そうな顔をしているが、それなりに気味悪がっている。

しかし当のゾロといえばどこ吹く風で、黙って座っているだけだ。気味悪がる素振りもない。

すると、ロビンが微笑んで口を開いた。


「剣士さん、彼女のお目当てはあなたのようよ」


最後まで、あなたをじーっと見つめていたから。
そう言うと、ウソップとチョッパーがいよいよ大騒ぎをして、甲板は混乱に陥った。
そんな中で、ゾロは終始黙ったまま、静かに思考を巡らしていた。






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