aph novel

□狂気は媚薬で
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カナダの首都オタワ


「え〜と、家の鍵持った、ガスの元栓閉めた。」


いそいそと、出掛ける準備を整えるカナダ。


すると、ノッカーが鳴らされた。

ガンガンッと壊れんばかりに鳴らされているので、訪問者が、カナダには一発でわかった。


「なんだい、アメリカ?」


ドアを軽く怪訝そうな顔をしながら開く。

「Hello!」

「Helloじゃないだろ?君ココどこだかわかってる?」

「カナダだろ?」

「あぁ!イギリス領カナダだよ!」

元敵国、しかも一応イギリスさんの領土にズカズカ来るなんて!!
と、言いたそうな顔だ。


「それよりお出掛けかい?」


カナダの整った服装を見て、アメリカは尋ねた。



「...まぁね、」

なんだか濁ったような物言いに、アメリカは首を傾げた。

「どうしたんだい?」

床を見ながら、消えてしまいそうな声を発した。


「...イギリスさん.......」


その単語に、アメリカはびくんっと体が反応する。


「入院してるんだよ」







ぇ?




「ど、どうゆう事だい?」


吃りながらも、質問をした。


しかし返答はない。



「怪我したのかい?!」


なので質問を重ねた。

しばしの沈黙の後、やっとカナダが返答した。

「...自殺しようとしたんだよ」

「、」


あまりの衝撃で言葉が出てこなかった。

「...っど、ぅゆう事だよ、」


やっとのことで、出た言葉もカタカタと震えていた。


「そのままの意味だよ、それに始めてじゃない。
最初は手首を切った。
次は心臓を刺した。
次は銃で頭をぶち抜いた。
次は睡眠薬多量摂取。
首をかっ斬ったんだ。
万年筆でね。」

頭が真っ白になった。

「精神異常だ、と、今は精神科にいるよ」


普通に考えたらそうだろう。


しかし国は死なない。
国の死は、その国の消失でしかない。




「...何処の病院だい?」
「まさかアメリカ行く気じゃないだろうね?!」


言いたい事は、わかる。
今行けば悪化する、だろ?

わかってる。


わかってるさ。


「何処?」


二人は、睨み合うようにしながら、黙り込んでいた。


するとカナダが諦めたのか、溜息を吐く。


「ロンドンブロムリーのべドラム」
「Thanks」


聞いた早々、アメリカはカナダ宅を後にした。
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