aph novel
□悪夢
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じめっと湿った部屋には、夜だとゆうのに蝋燭一本の灯りだけしか灯っていなかった。
外は星がまったく見えず、まるで闇に夜空が飲み込まれてしまったようだ。
自分の心音以外はその闇に飲まれたかのように、不気味な静けさが永遠に続くかのように思えた。
しかしその予想は案外早くに外れた。
木製の扉が酷い音をたてて開いた。
蝋燭が新鮮な空気にあたり、小さな火花をちらす。
扉から現れた兄は、酔っているのが体臭ですぐにわかった。
酔っている時の兄は更に怖くなる。
俺は素早く自身の部屋に逃げようとしたが、
もう遅かった。
左の背中に走る激痛。
なんとか叫ぶのを耐え、後ろをゆっくりと振り返る。
そこには机の上にあったバスケットに、果物と一緒に入っていた果物ナイフを自分に突き刺して不気味な笑みを浮かべている兄だった。