三國無双

□追憶
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遅い、のだ。
後悔先に立たずと云うが、後になって悔いるからの後悔である。
先に立つような事が有ればそもそも此のような事には成らない。


赤兎馬の手綱を必死に握る彼は、前を駆ける孫策を追うので精一杯であった。
鹿毛の倍もの速度で背後へ飛去る景色に、はやくも酔い始めて居たのである。



「何で公瑾の時はあっさり引くんだ…俺には信用無いのか?」
「何を今更」

「まぁ良いや。
折角のお許しだ、海迄行くぞ」
「…其れこそ、張公に迄も叱られるのは私なんだが」
「大丈夫だ公瑾!何てったってこっちには赤兎鐙が有るんだからよ」
「またそんな物を。類似品に手を出すのは君の悪い癖だ」
「否、何かフリーモードで呂布倒したら手に入った。まあ乗れって」

「!?」 ぐい。





一日で何里を駆けるとか、そんな事知ったことでは無い。
呂布を相手にする暇があるなら書簡の一つや二つ、目を通せ。

込み上げてくるものに耐えながら、胸の中で悪態を吐き続ける周瑜であった。




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