三國無双
□以音
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以音
無遠慮に彼の執務室へ入ってくるのは、孫策くらいなものである。
周瑜は彼に向けるで無く、深い息を吐いた。
鬢の毛一本揺れぬ、無風の夜であった。
しかも、陽が出ていない事は只の気休めといって良い程暑い。蒸篭等で蒸される心地すらする。
執務はおろか、書面の字面を追うことも億劫な周瑜であった。
「…何か用か」
「へばってるお前の顔見ようと思ってよ」
そして抜ける様に笑い飛ばす。
確かに端正な振る舞いを常とする周瑜の、だらけた姿と見ゆことは稀である。
だが、何故、此の人は。