三國無双
□後眩惑
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と、
ぱしゃ ん 、
細く息を吐き乍ら、後孔に指をあてがう。
湯の力を借りずとも、其処は常より解れていて、思いの外容易に指の進入を許す。
しかし、どうしても異物感と圧迫感を拭うことが出来ない。
唯早く、早くと胸中唱え乍ら不慣れな作業を行う陸遜は、惨めなのか、腹立たしいのか、悲しいのか、分からなくなっていた。
その絡まった感情が向く対象や、そもそもの一連の出来事すら、恰も夢や幻影であるかの様であった。
ならば今、自分は一体何をしているのだろうか。
其れこそ寝惚けているか、未だ夢路の中途なのではないだろうか。
だが、ぎこちなく指を折り曲げると、残滓ではあるが先刻の証がかき出された。
湯に紛れることなく、まるで春霞の様に姿を変える。
既に夜の静寂に沈んだ室に、自分のたてる水音がはね反る。
先より思考が活発になっているのは何故だ。
ぱしゃ、
と、 とぷ
――否、未だ分からない。実際は牀の上で眠って居て、外の雨が欄干に落ちる音でも聞いているのかも知れない。
なら尚のこと早くと、内部を弄る指の力を込める。
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