三國無双
□倒錯
1ページ/4ページ
周瑜は、静かに壷から酒を掬う。
白く濁った其れは、透き通った水音を生む。
其れは確かである。
麻で編まれてある座に胡座をかいて、杯を押し抱き、宝物であるかの様に、繊細な指で。
倒錯
燭の火が一つ、隙間風で揺らめいている。
しかし、室を照らすという本来の意は既に無く、ろうの匂いが微かに、彼の鼻腔をついただけである。
融けていく白は、人間のにおいにも似て、いた。
近い様で遠い分裂した其れが自分だという事に、彼はもしかしたら、気付かないかも知れぬ。
それでも、重要な事では無い。
.