三國無双

□倒錯
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周瑜は、静かに壷から酒を掬う。
白く濁った其れは、透き通った水音を生む。


其れは確かである。



麻で編まれてある座に胡座をかいて、杯を押し抱き、宝物であるかの様に、繊細な指で。








 倒錯









燭の火が一つ、隙間風で揺らめいている。
しかし、室を照らすという本来の意は既に無く、ろうの匂いが微かに、彼の鼻腔をついただけである。

融けていく白は、人間のにおいにも似て、いた。

近い様で遠い分裂した其れが自分だという事に、彼はもしかしたら、気付かないかも知れぬ。


それでも、重要な事では無い。



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