三國無双
□後眩惑
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卓の上にのる花器には、桜の枝が無造作に挿してあった。
きっと外から戻る時に拾ったのだろうと思った。
何かを考えなければ、此の儘ずぶずぶと深く暗い場所に沈んでしまう気がして、これでも無理に絞り出したものである。
其処は温く湿っていて、形成すものは皆無であるに違いない。
それだけはと、陸遜は固く目を瞑る。
外界を遮断して、瞼の裏でかち合う残像を少しく追いかける。
そしてゆっくりと瞳を開く。
勿論閉じる前と何ら変化は無かったが、殊更然う感じるのは、自身が変化を期待しているからだと、甘やかに笑む花を見つめる。
後眩惑
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