小説U

□『相反する思い〜mail〜』
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『誕生日おめでとう』



たった一言

簡素な言葉。




 【相反する思い〜mail〜】




メールの着信音に、ポケットの中に入れていた携帯を取り出す。

何気無く見たディスプレイには、アンタの名前。


「──────…っ!?」


一瞬自分の目を疑い、慌ててメール画面を開く。


そこには、たった一言。



「………………」



アンタらしいと言えばアンタらしいけど…


近況報告とか、他に何かないのかよ…

メールが有っただけでも、アンタにしたら良い方なんだけれども…


何日…何ヶ月会ってないと思ってんだよ。


忙しいのは分かっているけど──…


せめて、電話くらいしてこいよ…


そう思うけれど、こっちから掛けるのは何か癪で…


手の中、此方を淡く照らすディスプレイを、何も言えず、ただ、睨み付ける様に見詰めていた…。



思い出すのは、青い髪と、赤い軍服を靡かせるアンタで…



思い出すのは、過去の残像ばかり…


今のアンタの姿を思い浮かべる事なんて、今のアンタを知らない自分には出来なくて…


折角の誕生日だというのに、頭の中を占めるのはアンタばかりで…


結局、嬉しい筈のそのメールによって、その日一日モヤモヤとした気持ちに包まれることとなった…




アンタに会えない誕生日なんて…


嬉しくもなんともない…



アンタは今
ドコに居るんだよ──…




      end…
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