小説U
□『意味を無くした言の葉を…』
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夢を見る…
寒さの厳しい夜には、特に…
【意味を無くした言の葉を…】
「─────…っ」
脳裏に残る残像…
貴方が…
微笑む──…
「…議…長……」
夢を見た…。
昔の様に、貴方に抱かれる夢を…
もう、叶う事のない夢を…
空虚感。
只々、胸を苛むだけの…
けれど…
ぬくもりが…
確かに…あったのだ…
体を包む、貴方の温かな腕…
大きな、大きな…
自分等では太刀打ちの出来ない…
温かくて、総てを委ねられる…
いなくなってから気付くのだ…
其処が、どんなに大切な場所だったのか…
何れだけ、貴方を欲していたのか…
いなくなってから、気付かされる…
もう…
いない貴方を求め、凍えた体が、心が…
貴方を求める…
俺は…
「俺は…貴方が…好きでした──…」
あの時言えなかった言葉を、今、口にする…。
もう、意味を無くしたその言葉を──…
end…