小説T
□『残り想』
1ページ/4ページ
「イザーク。誕生日、オメデトさん。」
薄暗ーい室内に、その場に不釣り合いな程の明るい声が響く。
.+‥【残り想】‥+.
「…何だ?…」
此方は、至って不機嫌な声。
「な〜に、くっらい顔してんだよ?」
室内に入ってきた人物、ディアッカが部屋に備え付けられているソファーへと座り込みそんな事を言う。
「…俺は何時もこんな顔だ!」
まあそりゃそうだけれども…。
そう思ったけれど、敢えてそれは口にしない。
「…自分の誕生日くらい、明るい顔しても良いんじゃないの?」
背もたれにもたれ掛り、頭の後ろで腕を組む。
「…こんな時に、誕生日くらいで浮かれてられるか…。」
こんな時…
ザフト軍に地球軍、今ではオーブ軍迄…
情勢は、悪化を辿るのみ。
あの時、終わった筈の戦争が、今、再び…。
否、終わって等いなかったのだ…。
沢山の犠牲を払い…
それでもなお……