小説T
□『fifty-fifty〜50〜』
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「ねえ、アスラン…。」
「ん…?」
「好き?…」
‥【fifty-fifty〜50〜】‥
唐突に問われたキラの言葉。
「…何が?」
ディスプレイに映された世界情勢…。
何が悪で、何が正義かなんて…
「…ちゃんと聞いてよ、アスラン。」
ディスプレイが、パタンと閉じられる。
「あっ!キラ!」
突然に伸びた手に、閲覧を妨げられる。
「何するんだ…。」
仕方なく、腰かけていた椅子を回転させ、すぐ後ろに居るキラへ振り返る。
「今、聞いてるのは僕。ちゃんと人の話は聞いてよ。」
すぐ間近、立ち上がっているキラの方が高い。
自然、見上げることになる。
「聞いてるだろ?」
「…真面目に聞いて。」
「…だから、何が好きか、だろ?聞いてるよ。」
「…人が真剣に聞いてるのに、片手間みたいに聞かないで欲しいんだけど。」
「……………。」
そう言われてしまえば、黙るしかなくて。
「アスランはさ、あの子が好きなの?」
瞳を見据えたままに問われるそれ。
「あの子…?」
思い当たる人物等いなくて。
「…あのデスティニーのパイロット。」
思いも寄らない、者の名。