小説Ⅰ
□『薬～phantom～』
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キラから貰った薬。
最近中々寝つけないと言ったらくれたもの。
ただの睡眠薬だと思って飲んだソレ。
睡眠薬だと…
思っていたのに…
『ソレ』は……
‥†【薬～phantom～】†‥
キラから貰った薬を飲んで、今日はこれで眠ることが出来るだろうと、ベッドに横になり瞼を閉じる。
甘く、微かに苦い液薬。
初めて見たそれ。
淡い薄紅のその薬。
キラが『新しく認可されたばかりだから見たことないんだよ。』と、言っていた薬。
だから、そうなのか、と飲んだ薬。
時間が経つ程、意識が夢散していく…。
このまま眠れるのかな…と、そのまま意識を飛ばそうとする…。
頭の中に、霞がかかった様に総てのものから遠ざかっていく。
視覚も…聴覚も…触覚も…
全てが消え、そのまま飲み込まれる…。
フッと意識が遠退いた時…
『………ラン…』
声が…
途切れそうになった意識を呼び醒ます様に、声が聞こえた…。
『アスラン…』
自分の名を呼ぶその声。
それに意識を引き戻される。