小説T
□『hundred year』
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「ねえ…、アスラン…」
「ん……?」
「ずっとずっと…一緒に居ようね…。」
・:‥【hundred year】‥:・
「…何をいきなり…。」
何の脈絡も無く言われたその言葉に振り返れば…
「約束したでしょ?ちっちゃい時…。」
机に向かって座っていた俺の背に、キラ。
熱中しすぎて気付かなかったのか、それとも警戒していなかったせいか…
「…約束…?」
今一つ思い出せなくて、そう繰り返せば、
「…百歳になるまで、ずっと…ずーっと一緒に居ようって…。」
言われたそれに、そういえばまだ本当に小さい時に、そういう事も言っていたような…
「……忘れてたでしょ…。」
ジトリと睨まれれば、流石に何も言えなくて…。
「………………。」
「…何でかなあ…約束したのに…。」
椅子に座ったままの体を、後ろから抱き締められる。
「…悪かったって…。…でも、ちゃんと思い出しただろ…?」
丁度、自分の肩の上に在るキラの腕に頭を預ける。
「…じゃあ、約束、守ってくれる…?…」
子供みたいな事を言うキラに、クスリと笑みを浮かべる。
「…なら、うんと長生きしなくちゃいけないな…。」
首元に巻き付いたキラの腕が温かい…
「前言撤回…」
「ん?……」
温かな心地よさに両目を閉じていたら…
「百歳になっても、ずっと一緒に居ようね…。」
そう言ってキラは俺に口付けた…
その約束が守れるか分からないけど…
俺はうんと長生きしなきゃな……
なんて、幸せな温もりに包まれながら思った…。
・:・‥end‥・:・