小説T
□『一夜の契り〜七夕の夜に…〜』
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一年に一度、逢うことの出来る織姫と彦星…
君を知った自分なら、その時を待たずに狂ってしまう…
【一夜の契り
〜七夕の夜に…〜】
君は今、僕の腕の中に居る。
温かな鼓動を伝え、確かに此処に存在する。
乱した浴衣から覗く白い肌に、紅い星を散らす…
ソレは、月と星に照らされた白く輝く肌に良く映え…
その痕に、指先を這わす。
「ん──…っぁ…っや…っぅ…っ」
自分の手の中、爆ぜそうなアスラン自身。
だけど、イかせてなんかあげない…
浴衣の裾を噛み締め、空ばかりに視線を投げる君に、ソレはあげない…
欲しいなら、僕を見て…
「アスラン…」
名を呼び、噛み締められた浴衣を離させる。
唾液で濡れた其処は、力の限り噛み締められていたのか、微かに皺を作っていた。
離させた口元も、唾液で汚れ…
其処に、口付ける。
柔らかな…
温かな…
君は、こんなにも可愛いいのにね…
彦星の気が知れない…
大好きな相手を、一年間も手放しておけるなんて…
天の怒りに触れてもいい、僕だったらアスランを連れ出すよ…
そして、一緒に地にへでも堕ちようか…
だって、割切れないから…
他人に言われて、はいそうですかって、受け入れられる筈がない…
知ってしまったから…
自分がどれだけアスランを愛しているか…
欲しているか…
今日が七夕の夜だと言うのなら、僕は君と一緒に居られる様にと願おうか…
ずっと、ずうっと…
だって、僕が彦星だったら、一年、漸く逢えた君を壊してしまうだろうから…
僕達は、織姫と彦星ではないけれど…
どんなに願ったとしても、確かな明日なんて存在しないから…
一年分、今夜愛してあげる──…
end