小説T
□『fifty-fifty〜50〜』
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「知ってる?アスラン、うわ言であの子の名前呼んでたの…。」
「─────!?」
俺が…?
「『シン』って…」
何度も…
僕の名前じゃなく、他の男の名を…。
「そんなに好き?…」
僕よりも、あのデスティニーのパイロットが。
「なっ、好きだけど、キラが思ってる様な好きじゃ……」
「じゃあ…僕が思ってる様な好きって何?…」
「それは……」
「恋愛感情?無いってホントに言える?」
畳み掛けるように言う。
「アスランはさ…、僕のことどう思ってるの…。ただの幼馴染み?ただの友達?…」
「それは…」
「ねえ、答えてよ…。」
視線を逸らそうとするアスランを逃さぬように、顎を捕える。
「…キラは…大切な…人だと…思ってる…。」
一つ一つ言葉を選ぶように告げられていく言葉。
「幼馴染みでもあるし、親友でもある…。」
僕が聞きたかったのはそんなことじゃない。
「…で?…それだけ?」
「…大切な…家族…みたいだと…──
「いい加減にしなよ…。」
もう、それ以上聞いていたくない。
「結局、アスランにとったら、僕もその子と変わらないってこと?」
「そういう訳じゃ…」
「じゃあ、どういう訳?」
戸惑ったように揺れる翡翠の目を捕え、さらに問掛ける。
「お、俺は───…。」
そのまま黙り込むアスラン。