小説T
□『fifty-fifty〜50〜』
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「デスティニー…、シンのことか…?」
「そう…。」
瞳を逸らさぬままに問われるそれに、居心地悪く視線を逸らす。
好きか、嫌いかと聞かれれば…
「ああ…、好きだよ?真っ直ぐな目をしてた…。」
人懐っこい笑い方とか、無器用なところとか…
まだまだ、幼い印象があったが…。
信じるものは、同じ筈だから…
「きっと…また会える。…キラも、きっと好きになると思うよ。」
進む道は同じ筈なのだから…
必ず、また、会うことが出来るから…。
「良い奴なんだ。真っ直ぐで…。だからきっとキラも───」
バンッ!
と、机を叩く音で言葉を遮られる。
キラが、アスランの体を間に挟み込む様に両手を机に着いたのだ。
「…キ…ラ…?…」
更に縮まった距離。
「…僕の前で、嬉しそうに他の男の人の話しないで欲しいな…。」
笑みを浮かべているのに、笑っていない。
「何言って…」
「そんなに、年下君が可愛い訳?」
グイッと顔を寄せられる。
もう、ほんの数センチ程の距離へ…。
「此方に来てから心ここに在らずっていうの?考え込んでばかりで…。」
いったい誰のことを考えているのか…