黒バス

□火神がマジバでキセキの世代と遭遇した
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「どうしてこうなった!」


 目の前に繰り広げられている光景を見て火神は思わず叫んだ。声が店内に響き渡り客の視線が一瞬集まったが、元々騒がしいので何事もなかったように自分の空間に戻っていく。
 火神が叫んだのも無理はない。なぜならマジバのテーブル席に、黒子、黄瀬、緑間、青峰、紫原、そして赤司とキセキの世代が勢ぞろいしているからだ。いくら黒子がいるとは言え、キセキの世代に囲まれて正直居心地が悪い。
 黒子と二人でご飯を食べていたはずだったのにどうしてこうなった。火神はこの状況になるまでのことを思い出してみた。





 陽泉戦の後、海常戦も観戦して、少し息抜きをしようと帰りに黒子とマジバに寄った。
 いつものように大量のマジバーガーとバニラシェイクという互いに見慣れた商品を持って雑談をしていたら、最初に黄瀬がやって来て、次に青峰、緑間、紫原の順に来て、最後に赤司がやって来た。さすがに赤司が来た時は一瞬空気が凍ったが、今では何事もなかったかのようにご飯を食べている。



 正直帰りたいけどまだ食べ終わってないし、前の席でのんきにバニラシェイクを飲んでいる黒子を置いて帰るわけにもいかない。しかも両隣を青峰と緑間にがっちり挟まれているから逃げるに逃げれない。万事休すだ。


「まあまあ火神っち、あんまり深く考えちゃダメっスよ」
「いや、どー考えても気にするだろ」


 黄瀬はのんきに黒子の隣でサイドメニューのポテトを食べている。のんきすぎてこっちがあきれてしまう。
 黒子から話で聞いていた限りでは全員あまり仲が良くないのかと思っていたけれど、バスケ以外ではそうでもないらしい。和気あいあいとみんなでご飯を食べている。黒子もどこかいつもより嬉しそうだ。表情があまり変わらないから分かりにくいが、よく一緒にいるせいか黒子の表情の微妙な変化にいつの間にか気付くようになっていた。
 けれどもそれが今回は逆効果だったらしく、なんだか胸がもやっとした火神はマジバーガーに勢いよくかじりついた。


「黄瀬の言うとおりだ。あんま気にするとハゲるぞ」
「おでこがハゲかかってるヤツに言われたくねーよ」
「ああ!?」


 何となくイラついていたので八つ当たりするように反論すると、青峰は持っていたドリンクを机の上に勢いよく叩きつける。形が少し変わって中身が飛び出そうになったがギリギリセーフだ。
 青峰は立ち上がり見下ろすようにしてきたので対抗して火神も立ち上がる。元々場所が狭いのでお互いの額がくっつき合うほど距離が近い。間近で見る青峰の顔はいつも以上にガラが悪かった。


「もっぺん言ってみろ。オレがなんだって?」
「おでこがハゲかかってるっつったんだよ」
「これはハゲてんじゃねーよ。邪魔だから短くしてるだけだ」
「言い訳は見苦しいぞ、青峰!」
「確かに中学時代より短いですよね」
「テツ!てめえ!!」
 
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