黒バス

□レオ姉さんの恋愛事情
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 うちの征ちゃんはかわいい。
 まず見た目がかわいい。バスケ選手にしては背が低いし全体的に細身で、すごく抱き心地がいい。
 あの特徴的な目もかわいいし、見つめられたら思わず抱きしめたくなる。実は湯豆腐が好きなところとか、征ちゃん呼びを許してくれるところとか。
 他にもいっぱいあるけれど、要するにあげるとキリがない。
 そんなかわいい征ちゃんに対する最近の私の想いは……。




「征ちゃんとセックスしたい…」
 生徒で溢れる食堂で永吉と小太郎とお昼ご飯を食べていたら、急に正面に座っている永吉がご飯つぶをふいた。
「ちょっと汚いわね」
 横を向いて噴いたからよかったものの、正面に向かってたら顔についていたかもしれない。本当にそれだけは勘弁してほしい。そしたら汚いどころの騒ぎではなくなってしまう。


 永吉はしばらく咳き込んで水を一気飲みしてようやく話せるようになった。
「お前がいきなり変なこと言うからだろ」
「あら声に出てた?」
 物思いにふけっていたら心の声が実際に声に出ていたらしい。あらやだ不覚。征ちゃんのこと考えてると周りが見えなくなるから困っちゃう。
「えーっ!?何、普段スキスキ言ってるのホンキだったのー?」
「当たり前じゃない」
 小太郎が不粋なことを聞いてきたので憤慨した。


 征ちゃんが大好きで部活中でも隙を見ては言っているし、部員にも公言している。最初の頃はみんな驚いていたけれど今ではすっかり慣れてしまったらしい。言わない日はないくらいで、すっかりおなじみの光景になっている。
 けれども毎日のように言っていても征ちゃんの態度は一向に崩れない。
 この前なんかも、



『征ちゃんそろそろ私と付き合ってくれない?』
『練習ならいつでも付き合うよ』
『も〜、つれないんだから〜』




 みたいなことがあった。
 やばい。すごくかわいい。抱きしめたい、キスしたい、セックスしたい。
 もちろん恋愛としての『好き』でおふざけなんかではなく本気だ。
けれどもどうやらこの二人は分かっていなかっ たようだ。まあ筋肉バカに子犬だから恋愛沙汰に疎いのはしょうがない。


「もうホントにかわいいのよー。……あ、でも好きになったらダメよ」
「いやオレらにそんな趣味ねえよ」
 永吉の言葉に小太郎が全力でコクコクと首を縦に振る。征ちゃんのかわいさが分からないなんてお馬鹿な奴らだ。
 まあでも好きになられたら困るからそれはそれでよしとしよう。
 早く部活にならないかしらと、そんなことを考えながらお茶を一口飲んだ。


 
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