捧げ物

□手を繋いで
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「…ん、あれ…?」

あぁ、応接室で仕事してて寝ちゃったんだ…………

「っておい」

「なんだい恭弥」

「アラウディ?何で僕の上に乗ってるの」

「恭弥の上に乗りたかったんだ」

「どけ」

目を覚ますとアラウディの顔が間近にあった。

「ちょっと、この体勢まできたってのにどけって?」

「勝手に乗っかったんでしょ」

「生殺しもいいとこだよ。」

「ワオ。普通に殺したほうが好み?」

「そういうことじゃないでしょ。」

ふと時計をみると時間は夜8時をまわっていた。

「ちょっと…もう帰らなきゃ」

「その前にキスでもしとこうよ」

「ふざけてる?ふざけてる方がまだいいからふざけろ。」

「そんな事言われたの初めてだよ。」

「こんな事言ったの初めてだからね。」

外は真っ暗。応接室の電気が眩しい。

「よっ」

「ぐはっ!!」

アラウディの腹に膝をくらわして起き上がる。

「ちょ…今のはないよ…いい所に入ったよ…」

「ほら、帰るよ」

「スルーもいいとこだね」

「早くしないと置いていくよ」

「ああもう行くよ。分かったから蹴ろうとするのやめなよ」

アラウディは立ち上がり(主に精神面で)僕の後ろについて歩く。

「恭弥。手繋いでよ」

「…なんで」

「寒いから」

「……しょうがないね」

アラウディの手は冷たく、思わず強く握る。

「…行くよ」

「うん」


そのまま手を繋いで家に帰った
(家に着く頃にはどっちの手も熱かった)







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