灰男2
□プロローグ
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コンクリートで囲まれた狭い部屋の中。
10人も大人が入れば窮屈になる。
明りは裸電球が天井からぶら下がっているだけ。
窓はない。
大人たちの中心には人が入れる大きさの正方形の木箱。
じゃらじゃらという鎖の音を部屋に響かせながら、
ぐったりとした少女が抱きかかえられて部屋に入ってきた。
そのまま少女は木箱に入れられた。
そして男たちは木箱に蓋を釘で打ち付け始めた。
とん、とん、とん、…
薄っすらと暗い木箱のなかで
少女は細く目を開けた。
― これでいいんだ ―
そして、また目を閉じた。
とん。
蓋が打ちつけられると
紙をもった男が木箱の前に現れ、
その紙を木箱に張り付けた。
≫≫≫宛先
――― 黒の教団 ―――