童話
□赤ずきんちゃん
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森の奥に住む赤ずきん。
[ある日、赤ずきんちゃんのお母さんが赤ずきんにおつかいを頼みました。]
(ナレーションさん)
「赤ずきんちゃん、これをおばあさんの家に届けてくださいな。」
[赤ずきんは直ぐにはい、と「えー」
・・・・・
言いませんでした。]
「今いいとこなのに」
[そう口にした赤ずきんの手にはPSPが収まっています。]
ぐずぐずしている赤ずきんをみたお母様が一言、ぼそりと呟いた。
「あーあ、残念。お小遣いあげようと思っていたのになー」
「行かせていただきます。お母様。」
びしっと敬礼のポーズを実の母に向ける赤ずきん。さっきまで持っていたPSPは姿を消していた。
[なにはともあれ、おばあさんに届けるぶどう酒とパイを持って家を出ました。
さてはて、無事にたどり着けるのでしょうか。]
[赤ずきんが家を出た頃、
森の奥の奥に住む狼さん一家でも一騒動ありました。]
狼のお母さんから一言、それはそれは冷たい目線で狼さんをにらむながら言い放った。
「さっさと赤ずきんを食べてきなさいよ」
[なんと恐ろしい言葉でしょうか。
しかし、それも狼なのだから仕方ありません。]
「あー」
肝心の狼さんは全くやる気がなさそうです。
仰向けになって掲げたPSPをピコピコと動かしています。
そんな狼さんをみてお母様は、狼さんの傍までやってきて足を振り上げ・・・
そのまま狼さんの腹に足を落としました。
「ふごあぁっっ!!」
いきなりのことに足が上がり、頭も上がり、全神経がお腹に向かいます。
そして、PSPは手からすべり落ちていきました。
「なにすんだっくそばばあっ!!」
狼さんは、お母様の足をのけ、お腹に手をあて痛みを訴えながら睨んだ。
すると、お母様はどこから取り出したのか狼さんの赤と白のスニーカーを取りだし、狼さんの顔めがけて投げつけた。
当たり前のようにスニーカーは狼さんの顔を直撃した。
そして、スニーカーは狼さんの手元に納まった。
「さっさと行って来い。不良息子!」
どかっと家から追い出されてしまった狼さんは。深くため息をつきながら赤ずきんの家に向かった。
きちんとスニーカーをはいてから。
[こうして物語は始まったのです。]