文庫

□年はじめ 11'01'01
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お互い何を願ったのか気になったのだろう、二人の声が上手く噛み合った。



「「何を願ったんだ?」」


「ハハッ、同時とはな。」

「それで、鴆は何をしたんだ?」

「言っちゃあ叶わねぇだろ、こういうのって。それに、お前だって答える気はなさそうだしよ。」

「まぁな。じゃあ、帰るか…寒い。」





リクオは帰る気でいたのか元来た道を歩こうとする。だが鴆が腕を掴む。其れに振り向くと冷えていた身体が指先迄冷たくなっていて、気付いた鴆は言葉を飲みリクオの頭をくしゃりと撫でる。

子ども扱いするような仕草に当然リクオは納得がいかない。何をするのだと言いたそうな目つきに口を開けた瞬間鴆の声が先に被る。





「こんなに冷たくなっちまって。さっさと帰るぞ。」

「おい…、さっき何か言いたそうにしてただろ。何隠そうとしてやがる。」

「……いいから帰るぞ、リクオ。」




半ば無理に引っ張っているのかリクオの足取りが絡まりそうになる。鴆が何か隠しているのは見るだけでわかり、明らかにリクオの方を見ず引っ張る姿にただ溜め息しか出ない。





仕方なく帰っていけばいつの間にか朝日が登りかけていた。まだ寒いこの時間帯だが陽が登ると少し暖かさを感じる。道には二人の影が並び其処には隙間がなかった。



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