文庫

□年はじめ 11'01'01
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深夜迄続いた総会も漸く終わると疲れたリクオは廊下を歩き自室へと戻ろうとしていた。そんな中部屋の前の縁側で座っている人影が目に入る。


直ぐに誰だかわかれば特にどうこうすることもなくリクオは、部屋に入ろうと障子に手を掛け乍其の人物に背を向けた儘言葉を掛ける。





「そんな所に居りゃ風邪引くぜ。中にでも入ったらどうだ?」

「そうさせてもらいてぇがリクオ、ちょっと付き合っちゃくれねぇか?」

「…何だ?」

「いやなに、対した事じゃねぇ。ほら前に言っただろ。お前の時間俺にくれるってよ。」




始めは理解しきれていなかったのだろう、顔つきが明らかに難しそうで何をやるのかと伺っていたが、鴆の言葉で漸く思い出したリクオはいつもの表情に戻る。

確か先月、そんな約束を持ち掛けたと記憶を遡る。リクオは一度部屋に入るとその時貰ったマフラーをも思い出し首に巻く。もう一つ落ち着いた色の灰色ぽいマフラーが目にとまると其れを鴆の首に巻く。

マフラーの防寒だけでも全然異なり鴆は、リクオの手首を掴むと玄関先へと向かう。




流石に一月、ましてや夜中の時間帯は冷え切る。風がないだけましだろうか、マフラーのおかげか身体の芯まで冷え切ることはなかった。





「それで、何処に向かってるんだ?」

「神社だ。」

「何しに?」

「年明けの正月ってならぁ、神社だろう。初詣だ。」

「それがやりたかったのかい?」




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