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□大切なもの 10'10'20
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時は夕刻である頃、奴良組のシマで他国妖怪が暴れていたという情報を、烏達から聞いた総大将とリクオ。直ぐに対策をと考えるが今他の妖怪達は出払っていた。




「仕方ないリクオ、様子を見に行ってくれんか?なに、終わった後じゃ、戦いにはならんじゃろ。」

「そういう問題じゃないでしょ。って、俺一人で行くの?」

「まぁそうなるのう。」








場所を烏から聞くと一人その場所へと向かう。次第に夕刻から夜へと変わっていった。秋の夜は風ももう冷たく、羽織りが靡くとより身体が冷えていく。


戦いの後だろうと見てわかる程の散乱状態であった。木々は荒々しく切られていたり地面にはあちこち穴や血がある。そのまま進んでいき怪我をしている奴良組の妖怪を見付ける。何とか意識のある彼等をリクオは事の詳細を聞く。




「…有難う。」





何か気になる事があったため彼等を其処に残しリクオは先に進み気配を隠す。他の妖気を悟ると辺りに注意していた筈が背後から攻撃された。


そのまま意識を無くしかけたが、刀を振り払い敵に一撃を喰らわせる。夜の姿へと変化していたリクオは利き腕をやられ血が着物や羽織りを汚す。
やはり残党が居たかと、気になっていた事が打ち消され後来た道を戻る。






「っ…。切られたか。」




深手を負ったその腕を庇うことなく、普通のように傷を負っている彼等と一緒にその土地を後にする。
彼等は薬師一派である鴆の所へと連れて行き、手当てをしてもらうことにした。そのまま本家に帰り事の次第を総大将であるじじぃに伝えなければと思い帰ろうとした。





だが羽織りを掴まれるのが分かった。



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