いただきもの

□【Autumn has come.】
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暑すぎず、寒すぎず、そんな気持ち良い季節がやってきた。
心なしか、空も高くなった気がする。

頬を掠める風も秋の香りがした。


「先生、こっちおいでよ。」

「あぁ、これ書き終わったらな。」


先生は季節が変わっても熱心に半紙に向かっている。
俺は縁側に座って空を見ていた。


「先生まーだ?」

「今終わった。」


先生は硬直した体を伸ばしながら俺の隣に座った。
先生からは上品な墨の香りがする。


「で?」

「ん?」

「何か用があったんじゃないのか?あんなに急かして。」

「何もないよ。ただ先生と一緒にひなたぼっこしたかっただけ。」

「ガキ。」

「うるせー…。あー気持ち良い。」


俺はそう云って先生の肩に顔を埋める。


「ヒロ、くすぐったい。というか、俺の方が疲れてるのに何でお前が寄りかかるんだ。」

「じゃあ、先生こっち。」

「うわぁっ」


俺は先生の肩から頭を持ち上げ、先生を自分の膝へと倒した。


「寝ても良いよ。」

「でも、寝たらお前つまらないだろ?」

「そんなことない。先生の寝顔見たいし。」

「何言ってんだ…ばぁか……」

「寝てんじゃん。」


先生の漆黒の髪を梳きながら思わず笑みを零す。

膝にかかる重みが愛しい。


先生の頬は日差しで赤くなっていて、まるで紅葉のようだ。

俺は先生の頭を撫で、空を見る。
真っ青な雲が時間を遅らせるように、ゆっくりと流れていた―――





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素敵な小説ありがとうございました!!
膝枕とかおいしすぎる^p^

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