裏文章
□バラ
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ビタミン剤のようなあのクスリが、俺を救ってくれるだって?
冗談じゃない。
そんなものを飲んだって何も変わりはしねぇんだよ。
このクソみてぇな現実も、
ヤツらの、反吐が出そうな程の笑顔も、
何もかもが、まったくすべて、何一つ変わりゃしねぇ。
本当に
本当に
本当にクソだぜ。
虫酸が走る。
それらすべてを消すことができないというのなら、
(跡部は金網を掴み、頭を押しつけ真下を走る特急電車を睨み付けた。)
俺が消えてやる。
テメーらみてぇな馬鹿とはここでサヨナラだ。
ああ、おあつらえ向きの電車が来たぜ。
(部活が終わると毎日ここへやって来ては、何故か同じことを繰り返している。
睨み付けながら口の端をつりあげ、笑みの形をつくる。
いつもここで、突然込み上げてくる愉快な気持ちを声帯を使って表現するための準備だった。)
ああ
なんて綺麗な
赤い
花びら
END