poem

□Room3
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【ボク等の姿】





たくさんの背の高いビル
昼だというのに 街は薄暗く
通り行く人達は 皆
造られた顔をして歩く
道の端に咲く花にも気を止めず
足元にある 小さな芽さえ
何もないように 踏んで行く

夜が来る
人があふれていた街は
まるで 死んだように固まる
月明かりで出来た影には
明るく脆い 地獄の楽園

「楽しいよ」と 誘惑の声

そこは
人間という生き物の
欲望の世界



夜明け また陽が昇る
足元には小さな芽
踏まれても尚
強く 懸命に生きる芽

きっと これが
本来あるべき 命の姿


いつか気付くだろうか
ボク等が あの時の
小さな芽なのだということに

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